諫早・国が上告断念。 | - 2010/12/16
- 「秋田県の田沢湖は、「青い絵の具を溶かし込んだみたい」とたとえられます。深いるり色の湖水。みつめていると、吸い込まれてゆくような感じを覚えます。数年前のこと。湖上を遊覧船でめぐっていたら、乗り合わせた人が話しかけてきました。「きれいなるり色は、強い酸性の水が流れ込んできたせいだそうですよ」さっそく調べてみたのでした。日本一酸性の強い温泉、玉川温泉の水が玉川を通って入っています。戦争が湖を変えました。国は先の大戦中、発電所と農地を作るため、田沢湖を天然のダムにして玉川の水を引き込みました。温泉に含まれるアルミニウムの粒子が青色だけを反射し、湖がるり色にみえる、といいます。強酸性の水で、魚たちは死に絶えました。田沢湖にしかいなかった、美味のクニマスまでが。昨日、そのクニマスが山梨の西湖で生きていると分かりました。田沢湖から消えて70年。かつて卵を移していたらしい。「絶滅魚」の再発見は初めてです。いまは魚の姿が認められますが、公共事業で「死の湖」と化した田沢湖。いま、公共事業で「死の海」になりかねないのが九州の有明海です。政府は、諫早湾を閉め切る水門を開けるよう命じた福岡高裁の判決を受け入れ、上告をあきらめました。判決が生きてきます。諫早湾埋め立て閉め切りで、ノリ養殖もタイラギ漁もさっぱりだった漁業者が喜びます。「元の豊かな海が戻ってくるだろう」。というわけで、きのうは朗報が続きます。(17日付けしんぶん赤旗「潮流」より)「国営諫早湾干拓事業と開門裁判」農林水産省が「防災機能の強化」「優良農地の確保」を理由に2007年完成した事業。総事業費2500億円。諫早湾(長崎県)を約7`の潮受け堤防で閉め切り、干拓地と調整池を造成。1550fの干潟が失われました。2000年には有明海一帯の養殖ノリの大凶作が発生。有明海沿岸の漁民が開門などを求め訴訟で佐賀地裁が08年、福岡高裁も今月6日に開門を命じました。私は、今年の夏も諫早湾の堤防上の道路を島原半島に向けて走りましたが、この調整池なるものがドブ色になっていました。多分、下水が溜まってあのような状態になっているのでしょう。有明海の水質の悪化は驚くほどで、沿岸に何カ所か海水浴場がありますが、とても泳ぐ気にはなりません。それにしても、遅すぎた決断で干拓地ですでに営農されている人にとっては厳しい話しです。(写真は、朝日に輝くススキの穂です)
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